Japan Law Express

企業法務関連情報を中心とした法律ブログ

立法・法改正

平成26年通常国会(第186回国会)成立の改正労働安全衛生法の施行期日が決まる ストレスチェックの実施は平成27年12月1日から

先の通常国会(第186回国会)で成立した改正労働安全衛生法には、多岐にわたる内容が含まれていますが、その中に企業に従業員に対するストレスチェックの実施を義務付ける内容が入っています。

これは、民主党政権時代に発案されて入っていたものでしたが、政権交代後に内容を修正のうえ、成立したものです。

このストレスチェック制度の詳細については、別の記事に譲りますが、このストレスチェック制度の実施が義務付けられる時期にかかる改正労働安全衛生法の施行時期が決まり、改正内容ごとに別々なのですが、ストレスチェック制度については、平成27年12月1日となりました。

「労働安全衛生法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令案要綱」などの諮問と答申 |報道発表資料|厚生労働省

ストレスチェックの実施が義務付けられる企業(産業医の設置が義務付けられる規模の事業場)にとっては、この日までに実施の体制構築が求められることになります。

専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法が成立。有期雇用の無期転換制度に例外が設けられる

改正労働者派遣法が廃案、無期転換の特例を認める特別措置法も継続審議になることが明らかに | Japan Law Expressの続報です。

労働契約法改正で新設された有期雇用の無期転換制度に例外を設ける特別措置法は、通常国会で継続審議になっていましたが、臨時国会で成立しました。

専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案:参議院

特別措置法の大まかな内容は下記の通りです。有期雇用の無期転換の通算5年の原則の例外を設ける特別措置法が閣議決定 | Japan Law Express

例外は極めて狭く、高齢者の再雇用の場面での活用はありそうですが、それ以外はどれほどの実例があるか微妙そうです。

また、例外扱いにあたっては厚生労働大臣の認定が必要であるため、例外扱いを実現するまでの間にもう一山あることに注意が必要であるように思われます。

法務省、「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」を公表

法務省から8月26日の法制審議会 民法(債権関係)部会で、「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」が決定されました。

法務省:「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」(平成26年8月26日決定)

民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案

民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案(案)補充説明

内容については別の記事で取り上げたいと思います。

厚生労働省の「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会、限定正社員を増やすための施策をまとめた報告書をまとめる

労働分野の規制緩和の議論の中で浮上した限定正社員ですが、その活用をより促すための施策が、厚生労働省の有識者懇談会『「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会』で議論されており、11日に報告書がまとまりました。

「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会審議会資料 |厚生労働省

この報告書の要旨をまとめると、限定正社員のさらなる活用のために4点示しています。

  1. 限定する内容を労働者に明示すること
  2. 正社員と限定正社員間の相互の転換制度
  3. 非正規雇用からの限定正社員への登用制度
  4. 均衡ある処遇

上記のうち3についてはすでにある助成金のうちの一部を活用することが可能であり、この提言によって新たに浮上したわけではなく従来から政府が促していた内容です。

上記はどれも人事制度を整備して、就業規則等の労働契約の内容を規律するものに具体化させていく必要があるため、実務に影響を与えるものと思われます。

一方で、報告書では限定正社員の解雇についても若干の検討結果が示されており、ただちに解雇がしやすくなるという結論にはつながらないことに言及がされていますが、この点は限定の内容等からどのような期待を持つかということになってきますので、実務の集積によって左右されるところではないかと思われます。

改正会社法成立 多重代表訴訟制度などが誕生

民主党政権時からの課題である会社法改正がようやく成立しました。

かなりの大規模な内容を盛り込んでいるのですが、社外取締役などについては立法が遅れる間に現実が進んでしまった感があるためいまいち注目に欠ける印象になってしまいました。

改正法の内容の特に重要な点は以下の通りです。

  1. 監査等委員会設置会社制度の創設
  2. 多重代表訴訟の創設
  3. 社外取締役の定義の修正
  4. 社外取締役を置いていない場合の理由の開示

しかし、上記以外にも非常に多岐にわたる改正が行われており、別に詳細に取り上げます。

また、上記4のとおり、社外取締役の義務付けは見送られましたが、有価証券報告書を提出している企業の場合には、理由の開示をしないといけないという微妙なさじ加減の規制が加わりました。結構、効果はありそうですが、よくわからないやり方だと海外からはみられるかもしれません。

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