Japan Law Express

企業法務関連情報を中心とした法律ブログ

憲法・行政法事情

ケンコーコム,処方箋薬のネット販売をめぐって確認訴訟を提起

医薬品のネット販売については判例が出てその後行政も動くという大事になっていますが,報道でも大きく取り上げられたこともあり,大変著名になっています。

厚生労働省がネット販売を全面解禁するのではなく,処方箋薬などを除外したことから,ネット販売業者からは強い反発を呼んでいますが,具体的な動きとして訴訟を提起したことが明らかになりました。

訴訟の提起に関するお知らせ

国を相手にした確認訴訟ということですので,公法上の当事者訴訟ということになると思われます。すると,内容面もさることながら,本件では訴訟提起がかなり早期であるため,訴訟要件など形式的な面が問題となることが予想されます。

特に問題となるのは確認の利益のうち,即時確定の利益など今争う必要があるのかということになると思われます。

世間的な注目を浴びているうちに訴訟提起に動いておくという戦略的な面があると思われますが,訴訟戦術としては問題が一つ増える事態になりそうです。

東京地裁,虐待の疑いがあるとして児童相談所が子供を保護したところ,両親が親権を奪われたとして国家賠償請求をした事件で,虐待の恐れがあり保護し続けることは違法ではないとして

子供の虐待と児童相談所の権限行使は,対応の遅れが問題となることがありますが,権限行使をして,虐待の恐れのある子供を保護したところ,両親から実質的に親権を奪われたとして国家賠償請求がされた訴訟で,東京地裁が請求を棄却したことが明らかになりました。

報道によると,争点となったのは虐待があったかというところからして問題となっており,虐待の法律論として,「両親の意図にかかわらず、子供に常識を逸脱した苦痛を加えれば虐待だ」として,事例判断としてということになりますが,虐待とその後も虐待の恐れがあったと認定し,子供を両親から話し続けることは違法ではないと判断しています。

虐待についての法律論が示されたところには意義深いものがあるように思われます。

児童相談所の権限行使の当否ということですとこのような判断になるでしょうが,隣接分野として,新設された親権停止の制度ができています。

裁判所の判断についての国家賠償の判断枠組みとこれまでの判例ではまず賠償は認められなかったということから考えますと,裁判所が一度,親権停止の審判をしたとしたら,その判断そのものに対しての国家賠償ということはおよそ認められないということになるのでしょう。

裁判例情報

東京地裁平成25年8月29日判決

最高裁,国税徴収法に基づき持分につき差押処分を受けた滞納者と当該不動産を共有している共有者は差押処分の取消訴訟の原告適格を有すると判示

行政事件訴訟法9条の原告適格について,新しい判例が出ましたので取り上げます。

最高裁判所第二小法廷平成25年07月12日判決 平成24(行ヒ)156 差押処分取消,国家賠償等請求事件

X,A,Bが共有している土地と建物があり,その共有者のうちのBが共有が生じる原因となった相続にかかる相続税を滞納したとして,当該不動産のBの持分に国税徴収法に基づく滞納処分といて差押処分をしたところ,XとAが差押処分の取消訴訟を提起するという一見すると不思議な事態が起きました。

原審は,差押がされたのはBの持分であり原告適格がないとして却下したところ,上告され,最高裁は原告適格については肯定する判断をしました。

第9条(原告適格) 
処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。

司法試験で行政法が,科目に入ってからは必須の手法になりましたが,法律上の利益があるかについて最高裁は関連法令を参酌する形で検討を行っています。

最高裁は租税滞納処分の以下のような点に着目しています。

滞納者と他の者との共有に係る不動産につき滞納者の持分が同項に基づいて差し押さえられた場合には,滞納者において,当該持分の譲渡や当該不動産に係る用益権設定等の処分が禁止されるため,滞納処分による差押登記後に当該不動産につき賃貸や地上権設定等をしてもこれを公売処分による当該持分の買受人に対抗することができず,その結果,滞納者の持分と使用収益上の不可分一体をなす持分を有する他の共有者についても当該不動産に係る用益権設定等の処分が制約を受け,その処分の権利が制限されることとなる。 加えて,不動産につき同項に基づく差押処分がされた場合の使用又は収益については,当該不動産の価値を著しく減耗させる行為がされると認められるときに,税務署長は滞納者及び当該不動産につき使用又は収益をする権利を有する第三者に対しその使用又は収益を制限することができるものとされており(同法69条1項ただし書,同条2項),滞納者と他の者との共有に係る不動産における滞納者以外の共有者は上記の第三者に当たるものと解されるので,滞納者の持分が差し押さえられた土地上に建物を新築するなど,当該不動産の価値を著しく減耗させる使用又は収益に関しては,滞納者のみならず,他の共有者についても同法69条所定の上記制限が及ぶこととなる。

以上の点を指摘して,法律上の利益があるとして原告適格を肯定しています。

すると本来なら本案審理をしていないことになりそうなので,差戻しという結論になりそうです。しかし,この判例には続きがあり,実は原審は仮にということで本案の判断をしていて,処分には違法性がないという判断をしていました。最高裁はこれをとらえて差し戻すと却下から棄却に不利益に変更される判決が出ることになるので,不利益変更禁止の原則から上告を棄却するという結論にしています。

この最後の処理のところも非常に興味深いですが,まずは,原告適格を肯定した例にまた一つ加わったという確認が重要だと思われます。

長野地裁,NECライティングの撤退問題にかかる住民訴訟で請求を棄却

JAPAN LAW EXPRESS: NECライティングが伊那市から補助金等を受けながら撤退した問題で住民訴訟が提起されるの続報です。

住民が伊那市にNECライティングと前市長,現市長に対して損害賠償請求訴訟を提起するように求めている訴訟だったわけですが,長野地裁は住民側の請求を棄却したことが明らかになりました。

NECライティングと伊那市との間では民事調停が成立しており,会社が1千万円を支払うことという内容とのことですが,とにかくこれで残りの請求を市議会も放棄しているとのことで,請求に理由がないということになった模様です。

民事調停と市議会の請求放棄という組み合わせによる処理というのはなかなか興味深いものですが,企業撤退の処理のケースとして意義深いものとなりそうです。

裁判例情報

長野地裁平成25年3月29日判決

最高裁,一般用医薬品ネット販売訴訟で,厚生労働省令を違法とした控訴審判決を支持して,上告を棄却

いわゆる大衆薬のネット販売訴訟では控訴審でネット販売を認めることになる判断が示されていましたが,国からの上告に対して最高裁も控訴審判決を支持,上告を棄却しました。

これにより一般用医薬品のネット販売への道が開かれることになりました。

最高裁判所第二小法廷平成25年1月11日判決 平成24年(行ヒ)第279号 医薬品ネット販売の権利確認等請求事件判決

後日詳しく検討したいと思いますが,理由づけを端的にまとめると,ネット販売を禁止することになったのは,厚生労働省令である薬事法施行規則に定めをおいたものですが,これは薬事法の委任の範囲を超えていると判断したものです。

憲法ででてくるところの,委任の限界を超えているということになるわけです。

詳しくは改めて取り上げますが,司法試験の知識としても重要な判例になりそうです。

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