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判例・裁判例

福岡高裁、セブンイレブンの値引き制限の損害賠償請求の控訴審で、一部のフランチャイジーに対する値引き制限行為を否定して、認容額を縮減

セブン-イレブン・ジャパンの値引き制限が独禁法上の問題となったことで、フランチャイジーであるフランチャイズオーナーからフランチャイザーであるセブン-イレブン・ジャパンに対して損害賠償請求訴訟が複数提起されたことはすでにこのブログでもお伝えしています。

このブログではすべてを取り上げられてはいないのですが、値引き制限が公取委によって排除措置命令がでたことで損害賠償の帰趨も本部にとっては難しいのではないかと思っていたのですが、いくつかの訴訟によっては値引き制限行為自体が認められないとして、請求が棄却されたりするという展開をたどっていました。

このたび、一審で、3人のフランチャイジーに対して600万円余の損害賠償命令が出ていた訴訟の控訴審で、そのうち二人に対する値引き制限行為を否定して、認容額を110万円に縮減した判決が出たことが明らかになりました。

まだ報道でしか確認できていませんが、報道での原判決の認容額からいくと、この事件は、福岡地裁平成25年 3月28日判決判時2209号10頁の控訴審であると思われます。

すると原判決では、認容額はそれぞれ220万、220万、165万なので、認容額が110万とすると、値引き制限行為が認められた分についても認容額が縮減されているものと思われます。

裁判例情報

福岡高裁平成26年11月7日判決

インターネットの書き込みに関する仮処分の申し立てが、4年で20倍になっていることが明らかに

プロバイダ責任法によってプロバイダに対応を求めることができるにもかかわらず、インターネットの書き込みに関連する仮処分が急増していることが明らかになりました。

ネット関係の仮処分申し立て、4年で20倍 投稿削除要請など :日本経済新聞 2014/10/27 1:15

インターネットの掲示板で誹謗(ひぼう)中傷されたとして投稿者の情報開示や投稿の削除をプロバイダー(接続業者)やサイト運営管理者に求めるなど、ネット関係の仮処分申し立てが激増している。東京地裁が2013年に扱ったのは711件で、4年前の20倍以上になったことが地裁関係者への取材で分かった。

関係者によると、東京地裁が09年に扱ったネット関係の仮処分は計33件で、仮処分申立総数の3%に満たなかった。しかし、10年に175件、11年に499件、12年は736件と増加。13年の711件は仮処分申立総数の40%近くを占めた。

13年の711件の内訳は、名誉毀損やプライバシー侵害の状態を解消するための「投稿記事の削除」が247件、損害賠償請求訴訟を起こす前段階としての「発信者(投稿者)情報の開示」が290件、通信記録保存のための「発信者情報の消去禁止」が174件だった。

仮処分申し立てが増えたのは、会員制交流サイト(SNS)などの普及でトラブルが増加したのと、対処する手続きが周知されたのが主な理由。02年施行のプロバイダー責任制限法では被害者は投稿者の情報開示や記事の削除をプロバイダーなどに直接請求できるが、司法手続きを取らざるを得ない実情があるとみられる。

ネット事情に詳しい弁護士によると、プロバイダーへの要請で問題の投稿が削除されても、誹謗中傷の投稿は繰り返されることが多く、再発防止と損害賠償請求のため投稿者の特定を望む被害者が増えている。

また、プロバイダーは記事の削除に応じても、投稿者の氏名やネット上の住所に当たるIPアドレスの開示は拒むことが多いという。〔共同〕

上記報道によると、根源的な原因はインターネットの書き込みによるトラブルの増加があるわけですが、それらの問題に対するプロバイダ責任法によるプロバイダの対応に限界があり、投稿が何度も繰り返されることにより、結果として目的を達せられないことから法的手段をとらざるを得ないことになっている模様です。

実際のところ、インターネットへの書き込みをめぐる弁護士への相談は増えている肌感覚があります。

このような流れは今後も増加傾向が続くように思われます。

肥後銀行、自殺した行員の遺族からの損害賠償請求訴訟において、長時間労働と自殺との因果関係を認める

肥後銀行,36協定の上限を超える時間外労働をさせていたとして,労働基準法違反で罰金30万円の略式命令を受ける | Japan Law Expressの関連情報です。

肥後銀行において、長時間労働について刑事事件となる事態になったのが上記リンク先の事象ですが、この件はきっかけが行員の自殺であり、長時間労働による自殺と見受けられる点があったというものでした。刑事罰のほかに自殺については、労災認定がすでにされています。

この件では、自殺した行員の遺族から同行に対して損害賠償請求訴訟が提起されており、その訴訟の中で、長時間労働と自殺の因果関係について同行が認めたことが明らかになりました。

「長時間労働で自殺」 肥後銀、因果関係認める-熊本のニュース│ くまにちコム

2012年にうつ病で自殺した肥後銀行の男性行員=当時(40)=の遺族が、自殺の原因は長時間労働による過労だったとして、同行に約1億7千万円の損害賠償を求めた訴訟で、銀行側が当初の主張を撤回し、自殺と長時間労働の因果関係を認めたことが10日、分かった。
同行は昨年8月と11月の口頭弁論で因果関係などを否定し、争っていた。だが今年4月、熊本地裁に提出した準備書面で「男性が長時間の過重な労働でうつ病を発症したこと、それを被告(銀行)が認識し得たこと、うつ病に罹患した結果自殺した点については、従前の主張を撤回し、これを認める」と改めた。

(略)

同行文化・広報室は主張を改めたことについて「略式命令を受けての反省など、諸事情を勘案して判断した。裁判ではご遺族の意向をできるだけくみ取り、誠心誠意対応したい」としている。第3回口頭弁論は今月18日。

(略)

刑事罰、労災認定などの事実の積み重ねから考えると妥当とも見えなくもないですが、法的には別物といえば別物ですし、行政の判断がされているからといって必ず民事訴訟における因果関係まであるかというと別問題であろうと思われます。

因果関係そのものは、規範的要件ではなく、普通の要件ですので、自白の対象になるわけですが、自殺という行為が介在している場合には、評価に近いものが出てきますので、被告の側で因果関係を認めるという判断もなかなか難しいものがあるように思われます。

仙台高裁、岡山貨物運送の営業所長が他の従業員の前で繰り返し叱責した行為と自殺との因果関係を認定

岡山貨物運送の運転手が自殺したところ、長時間労働と営業所長が他の従業員の前で繰り返し叱責したパワハラが原因であるとして遺族が会社を相手取って損害賠償請求訴訟を提起したところ、一審の仙台地裁は長時間労働との因果関係だけを認定していましたが、控訴審の仙台高裁はパワハラとの因果関係も認定して、会社と営業所長に損害賠償の支払いを命じました。

“パワーハラスメントが自殺に”2審が認定 NHKニュース

運送会社に勤務していた男性社員が自殺したのは、長時間労働などが原因だとして、宮城県に住む男性の両親が損害賠償を求めた裁判で、2審の仙台高等裁判所は上司のパワーハラスメントが自殺につながったと認定し、会社と当時の上司に合わせておよそ6900万円を支払うよう命じました。

岡山市にある「岡山県貨物運送」の宇都宮営業所に勤務していた当時22歳の男性社員が、5年前、採用から半年後に自殺したことを受けて、宮城県に住む男性の両親は、月100時間を超える時間外労働や、当時の上司のパワーハラスメントが自殺の原因だとして、およそ1億1200万円の損害賠償を求めました。
1審の仙台地方裁判所は、長時間の時間外労働が男性の自殺につながったとして会社に賠償を命じた一方で、パワーハラスメントと自殺との関係は認められないとして当時の上司に対する訴えは退けました。
27日の2審の判決で、仙台高等裁判所の水野邦夫裁判長は「男性への長時間労働に加えて、上司が『辞めてしまえ』と言いながら男性の顔を殴るなどのパワハラをして自殺に至った」と指摘し、当時の上司によるパワーハラスメントが自殺につながったと認定しました。

(略)

パワハラが争われる際には、パワハラに該当するのか事態が争点になるのですが、本件では自殺という事態が生じていることから、自殺との因果関係そのものが問題となっているため、繰り返し叱責した行為がパワハラであるかという問題より次元が一つ進んでいるように見受けられます。

裁判例情報

仙台高裁平成26年6月27日判決

東京地裁、チャイナ・ボーチーの株式の価格決定に関して株主からの請求を棄却し、一方で株主1人につき10万円の慰謝料請求を認容

ケイマン籍でありかつ中国系企業であったチャイナ・ボーチー・エンバイロメンタル・ソリューションズ・テクノロジー(略称 チャイナ・ボーチー)という環境関連の会社が東証に上場していましたが、MBOを行って上場を廃止になっていました。

その際、反対株主の株式買取請求がなされて、価格で合意できなかったために価格決定の申立てに相当する訴訟提起が東京地裁に対して提起される事態となっていましたが、4月24日に判決が出され、価格決定については請求を棄却しました。

上記では、相当する訴訟というよくわからない書き方をしましたが、チャイナ・ボーチーはケイマン籍の会社であるため、そもそも日本の会社法の適用がないため、会社法所定の価格決定の申立てなどもできないはずのところなのです。会社側は、東京地裁で何らかの司法的な手続きができるように株式譲渡契約を締結するなどして訴訟が提起されたものの、会社側の代理人の交代などもあったとのことで、和解的な解決はできずに、判決に至ったものです。

その結果、価格決定に相当する部分については報道によると請求を棄却された一方、会社の対応のためケイマンで手続きをすることができなかったとして提起した慰謝料請求が認容され、一人10万円が認容されたことが明らかになりました。

チャイナ・ボーチーのMBOは相当な安値であったとの批判を受けるなどして、このような紛争になったわけですが、そもそも司法でも有効になしうる手段が限定的であり、慰謝料とするにしてもその性質上、かなり限界があることが露呈した格好になっています。

なお、上記の判断の基礎になっているのは、日本の会社法の適用があるのは、日本法に基づいて設立された会社だけであるという組織法としての会社法の議論です。

しかし、堂々と東証に上場していたわけであるので、投資家にとっては非常に不十分な事態がまかり通っていることが明らかになってしまいました。

これは法的に乗り越えるのは困難な問題で何らかの立法措置につながるということは期待できないように思えますが、本件事象は関係者の記憶には強く残ることになりそうです。

裁判例情報

東京地裁平成26年4月24日判決

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