Japan Law Express

企業法務関連情報を中心とした法律ブログ

リーガルトピックス

春日電機の元社長,金融商品取引法違反容疑で逮捕される

このブログでも以前お伝えした春日電機の一連の騒動がありましたが,それは,会社を買収した人物が外部から会社に乗り込んできて,会社財産をほしいままにしており,監査役が一人で戦っているという状況でした。

その春日電機の元社長篠原猛氏は,特別背任で逮捕されましたが,このたび,金融商品取引法違反(インサイダー取引)で逮捕されました。

春日電機元社長、インサイダー取引容疑で再逮捕 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)(2011年3月3日20時58分  読売新聞)

(略)

東証2部に上場していた電気部品製造会社「春日電機」(本社・東京)を巡る不正融資事件で、東京地検立川支部は3日、別の会社の株についてインサイダー取引をしたとして、春日電機元社長の篠原猛被告(53)(会社法違反で起訴)を証券取引法違反の疑いで再逮捕した。

発表によると、篠原被告は2006年7月、自身の創業したソフト開発「オックスホールディングス」の子会社が、有価証券取引などで約5億8000万円の損失を計上することを知り、公表前の同年8月、2回にわたってオックスホールディングス株を計約3230万円で空売りした疑い。価格下落後に買い戻し、利益を得たという。

報道の事実の通りだとするとあまりに典型的に構成要件に該当しそうな行為態様であり,法的には目新しいものはありませんが,このブログでも取り上げた事象の後日談として取り上げておきます。

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洋麺屋五右衛門,アルバイトの変形労働時間制を廃止

外食産業では変形労働時間制を採用している例が多いですが,労働基準法にきちんとしたがっていない例もあり,労働問題となっています。

そのような例の一つとして,以下のような事例を以前取り上げました。

JAPAN LAW EXPRESS: 東京地裁、洋麺屋五右衛門のアルバイトの変形労働時間制を無効と判断

 

この件の続報といえると思いますが,洋麺屋五右衛門は結果として変形労働時間制を廃止したことが明らかになりました。

洋麺屋五右衛門:「変形労働時間制」を廃止 - 毎日jp(毎日新聞)毎日新聞 2011年2月28日 19時31分

スパゲティ専門店の洋麺屋五右衛門などを全国展開する飲食大手「日本レストランシステム」(東京都渋谷区)が、一定期間の平均が法定労働時間(1日8時間、1週間40時間)にとどまっていれば繁閑に応じてその割り振りに偏りがあってもよいとする労働基準法に基づく「変形労働時間制」について、5月からアルバイトへの適用を廃止することを決めた。廃止を求めてきた元アルバイト男性(29)らが28日、明らかにした。

同制度は、就業規則に明示した期間内での労働時間の変形を認めたもの。同社は就業規則に期間を明示していなかった上、時給制のアルバイトにも変形労働時間制を適用し、深夜や休日の割増賃金を支払っていなかった。男性が未払い分の支払いを求めて東京地裁に提訴して勝訴。東京高裁で和解が成立した。

(略)

 

この制度変更が,上記裁判の和解の内容に含まれているのかは定かではないのですが,影響を与えたことはあるのでしょう。

マクドナルドの名ばかり管理職の件と同じく,個人の紛争解決だけにとどまらない結果をもたらした裁判ということになったようです。

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公取委,合併審査の事前相談を廃止へ

まだ公取委からリリースはないのですが,大手各紙が昨日18日に一斉に,公取委の合併審査の見直し案の全容が明らかになったとして報道がなされ,その中で事前相談が廃止されることが明らかになりました。

asahi.com(朝日新聞社):合併の事前相談を廃止へ 公取委、審査不透明と批判受け - ビジネス・経済2011年2月19日7時22分

公正取引委員会は、企業合併・買収(M&A)の審査で続けてきた、企業からの「事前相談」制度を廃止する方針を決めた。経済界から「事前相談が合併審査を不透明にさせている」との批判を受け、近くとりまとめる企業結合規制の見直しの柱にする。

事前相談は、合併や買収を計画する企業が独占禁止法にもとづく正式な届け出を公取委に出す前に、計画が法に反するおそれがあるかどうか公取委の見解をうかがう制度。独禁法に相談の規定はなく、公取委は「サービスの一環」として続けてきた。

欧米の公取委にも事前相談制度はある。しかし、日本の経済界や経済産業省は「法的な根拠もないのに、追加資料の提出を求められるなど手続きに時間がかかる」「実質的には相談段階から審査が始まっている」などと見直しを求めてきた。

(略)

法的根拠もないのに不透明だとかいう経済界からの批判にこたえたものですが,実のところ組織再編関係の行為が行われる全体から見てみると,事前相談がされるのは比率としてはわずかであり,廃止しても大した影響はないという判断もある模様です。

しかし,利用は少ないとはいっても,大きな企業同士の場合など影響が大きいものについては,予防法務的な観点からすべからく行われていたでしょうから,規模まで考えに入れると利用の少ない制度の廃止とはわけが違うと思われます。

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最高裁,武富士創業者長男に対する生前贈与に対する贈与税課税処分が争われた事件で課税を認めた原審を破棄

このブログで継続的に取り上げてきた武富士創業者長男に対する課税処分が争われた事件ですが,最高裁で弁論が開かれたことから予想された通り,最高裁は課税処分を適法とした原審を破棄して,課税処分を取り消した第一審判決を支持,武井俊樹氏の勝訴に終わりました。

最高裁判所第二小法廷平成23年02月18日判決 平成20(行ヒ)139 贈与税決定処分取消等請求事件

租税法は専門ではないのに加えて,本件は,事実関係を前提としてあてはめが争点になっており,判決文をご覧いただくしかありません。

最高裁は,端的に言うと,武井氏の香港での生活実態に関する原審までの事実認定に基づいて,

上告人は,本件贈与を受けた時において,法1条の2第1号所定の贈与税の課税要件である国内(同法の施行地)における住所を有していたということはできないというべきである。

としました。

実のところ,香港に行ったとしても,武富士の役員を辞めたわけではなく,取締役会のために日本に戻ったりしているので,租税回避ではないかという見方もありうるところですが,相当程度の生活実態が香港でもあることから,上記のような判断になったものといえましょう。

還付される金額は約2000億円と相当になります。

これを武富士が会社更生になってしまい過払い金の請求が問題となることから,役員としての責任を追及してこの還付金をあてにしようという動きが既にありますが,それを実現するのはかなり難しそうです。

最高裁は,居住の実態だけを見て判断をしているにすぎないと思いますが,実際のところこのブログでも若干言及した通り,武井氏には租税回避ではなく香港に行ってしまう事情があったかもしれません。すると経営についての関与も役員を辞めている時期が比較的以前であることからも,困難な障害があるといえそうです。

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キリン,金庫株を消却

ビール大手のキリンホールディングスが,自己株式を消却することを公表しました。

キリンホールディングス_ニュースリリース_2010.12.13_自己株式の消却に関するお知らせ

この金庫株は,自社株取得や単元未満株の買取で取得したものですが,株主が大量放出を懸念することから,消却することにしたとされています。

法的には金庫株を持ち続けることに全く問題はありませんが,株主から希薄化の懸念が強いことから,消却してしまうことがよく見られ,本件もそのような事例といえそうです。

会社法

第6款 株式の消却

第178条

株式会社は、自己株式を消却することができる。この場合においては、消却する自己株式の数(種類株式発行会社にあっては、自己株式の種類及び種類ごとの数)を定めなければならない。

2 取締役会設置会社においては、前項後段の規定による決定は、取締役会の決議によらなければならない。

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