11月5日に厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会が開催され、そこで、今後の労働時間法制について重要な提示がなされました。
まだ議事録は公開されていませんが、報道とすでに公開されている資料からは、今後の労働時間法制などについて以下のような提案がされたことが伺われます。
報道では言及されたことがあるものの審議会として新規に登場したものは以下の点です。
- 中小企業についても月60時間を超えた分の時間外労働の割増賃金の割増率の引き上げを行う
- 企業に有給休暇の取得の義務付けを行う
その他、資料にはすでに俎上に上っているものについても、以下のような内容が記載されています。
- フレックスタイム制の清算期間の延長などの修正
- 裁量労働制の拡大
- ホワイトカラーエグゼンプション
次期通常国会をめどに所与の法的措置を検討するとなっており、今後議論が行われるものと思われます。
ものによっては、立法の実現までにまだまだ時間を要しそうなものもありますが、中小企業については猶予している月60時間超の時間外労働の割増率の引き上げは、一度は猶予したものの3年後には再検討としていたものでして、労働法の世界ではこれは3年後にはほぼ必ずそのまま実施となるのが常ですので、本件についてもこのまま適用拡大になるのではないかと予想されます。
全体的には労働時間の柔軟性を高める工夫と、長時間労働の抑制に働くものの両方が含まれており、双方をセットにして立法的措置を講じしていくのが本来的な筋と思われます。