東証一部上場のシステム開発のNSDが、株式の無償割当てを実施することが明らかになりました。

株式の無償割当てとは、会社法で誕生した制度で、株主に払い込みなしで株式を割り当てるものです。

NSDのプレスリリース

この無償割当ての特徴は、複数ありますが、そのうち、異なる種類の株式を割り当ててもよいこと、割り当てるのは新株を発行しても自己株式でもどちらもよいという点があります。

第185条(株式無償割当て)
株式会社は、株主(種類株式発行会社にあっては、ある種類の種類株主)に対して新たに払込みをさせないで当該株式会社の株式の割当て(以下この款において「株式無償割当て」という。)をすることができる。

第186条(株式無償割当てに関する事項の決定)
株式会社は、株式無償割当てをしようとするときは、その都度、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 株主に割り当てる株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法
二 当該株式無償割当てがその効力を生ずる日
三 株式会社が種類株式発行会社である場合には、当該株式無償割当てを受ける株主の有する株式の種類
2 前項第一号に掲げる事項についての定めは、当該株式会社以外の株主(種類株式発行会社にあっては、同項第三号の種類の種類株主)の有する株式(種類株式発行会社にあっては、同項第三号の種類の株式)の数に応じて同項第一号の株式を割り当てることを内容とするものでなければならない。
3 第一項各号に掲げる事項の決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。

新株発行をして種類株式を無償割当てした例が伊藤園でありますが、このNSDの事例で特徴的なのは、自己株式を用いて割り当てるという点であり、日経の報道によると初であるとされています。

なお、上記リリース中に記述がありますが、本件についても基準日が設定されています。株式分割では、基準日の設定が法律上必要ですが、無償割当てでは必要ではありません。しかし、実務上の必要性から基準日の設定はした方がよいことは当然予想されるわけで、本件もその例に漏れない模様です。