社外取締役の設置義務付けそのものは法律上はまだなされていませんが、東証の規則で独立役員の設置を求めたことなどから、これまで社外取締役を置いてこなかった企業でも導入する動きが相次いでいます。

その結果、今年の6月の株主総会でも役員選任議案で社外取締役を含んだ内容の提案が多くされることで、社外取締役を導入する企業が総会後には東証上場企業の7割に上ると予測されていることが、証券代行の三菱UFJ信託によって明らかになりました。

時事ドットコム:社外取締役導入、7割に上昇=増配に期待-6月株主総会

6月の株主総会は、上場企業の社外取締役導入や増配などの株主還元策に注目が集まりそうだ。株主名簿の管理など「証券代行業務」を手掛ける三菱UFJ信託銀行は、社外取締役導入企業の割合が、東証上場企業の55%程度から6月の総会後には「7割程度まで上昇する」と予想する。
社外取締役導入企業の急増が見込まれる背景には、今国会で成立見通しの会社法改正案では、社外取締役を置かない上場企業は株主総会でその理由を説明することが必要になることがある。3月期決算企業にとって、6月の総会で導入を見送れば、企業統治(コーポレートガバナンス)に対する姿勢を株主から厳しく問われかねないからだ。

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上記報道の通り、導入しないことの説明を求めるというのに抵抗感があり、それなら設置すればよいのだろうということで動きが加速されていると分析されています。指摘を受けるような事態は避けたい、悪目立ちはしたくないという企業ならまあ当然有している心理が反映しているものといえそうで、そうならば設置義務付けまで法制化しなくても実質的に実現できるという意味で巧妙な立法技術なのかもしれません。