普通,許認可を求める場合,いきなり申請をせずに,担当している部署に確認や相談をするのが一般的だと思われます。その事前相談で誤った情報を伝えられたために損害を被ったとして国家賠償請求になっている事案があるとのことで,このたび1月末に控訴審判決が出た模様です。

報道によると,原審の横浜地裁小田原支部は国賠を認めるという衝撃的な判断をしている模様でそれに対して控訴がなされたところ,東京高裁は一転して請求を棄却した模様です。

ポイントとなったのは,事前相談への回答が公権力の行使に当たるかという点であるようで,東京高裁は事前相談への回答は「行政サービスの一環」として,公権力の行使への該当性を否定した模様です。

もっとも,原審では,事前相談への回答一般が公権力の行使に該当するという言い方をしているわけではありません。

本件で問題となったのは井戸の設置が許可できるのかという問題だったのですが,当該条例の解釈自体が裁判所で問題となってしまい,井戸の設置が許可される余地があると解釈されたため,そのような条例である以上,回答は具体的にするべきであるという結論になったという論理的な流れがあります。したがってあくまで事例判断だったわけで,果たして原審を変更して違法性なしとした判断が妥当であったかには異論もあるかもしれません。

原判決情報

横浜地方裁判所小田原支部平成25年09月13日判決 平成23(ワ)955 損害賠償(国家賠償)

本判決の詳しい日時等は不明ですので,確認できたら追って追記します。