JAPAN LAW EXPRESS: シルバー人材センターから紹介を受けた仕事の作業中の負傷したところ保険が不適用であったとして,負傷男性の長女が国に慰謝料と協会けんぽに保険適用を求める訴訟を提起の関連情報です。

被扶養者として健康保険に入っている場合に,請負の形で労働して負傷した場合の療養費について,保険の隙間が出ていることを上記記事でお伝えしましたが,厚生労働省は健康保険法を改正して,保険の適用対象とする方向で検討を始めたことが明らかになりました。

労災保険対象外の高齢者ら健保で救済 厚労省、来年法改正へ - 中国新聞

厚生労働省は19日、仕事中にけがをしたシルバー人材センターの高齢者らが労災保険の対象にならない場合、健康保険を適用して救済する方針を固めた。健康保険も労災保険も適用されず「制度の谷間」に落ちてしまう人が治療費の全額自己負担を強いられるケースが相次いだため、対策を協議していた。

厚労省は社会保障審議会医療保険部会での議論を経て、来年の通常国会に健康保険法改正案を提出したい考えだ。

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この報道で行くと,高齢者の場合だけが対象となりそうですが,それだと立法技術的に変なので,インターンシップの学生なども含めることになるのではないかと思うのですが,どうなるのでしょうか。

ちなみにこの制度の谷間になっていしまうこと自体は,それほど滅茶苦茶というわけではなく,国保に入っていればよいはずの話なのです。

健康保険の対象とすると,事故の発生率によりますが,健保財政の一層の悪化につながるために,保険料率の引き上げにつながることが考えられます。救済をしているように見えて,制度をさらに締め付けることになりかねないので,長い目で見るとどうなのかが非常に気になるところです。それよりも労災保険法の適用範囲の観点はどう考えたのかが気になるところです。