景気対策で行われているエコカー補助ですが、アメリカから国内メーカーの車を優遇しているとして、WTO法違反であるとする見解が出てきています。通商摩擦になる可能性が出てきたといえます。

日本のエコカー補助「不平等」 米下院議員が声明(日本経済新聞2010年1月8日)

【ワシントン=御調昌邦】米民主党のサットン下院議員(オハイオ州選出)は6日、日本のエコカー補助が米国メーカーなどに対して不平等だとする決議案を下院に提出したと発表した。対日協議を直ちに開始し、世界貿易機関(WTO)ルールに違反している状況を改善するよう米通商代表部(USTR)に求めている。

日本政府は環境基準などに沿って、米国を含む海外メーカーの自動車も公平に扱っているとの立場をとっている。

(略)

客観的な環境基準を設けてそれを満たしているのが日本車が多いのだというのはもっともな理由に見えますが、これは下手をすると内国民待遇に反することになりかねません。

日本車ばかりが該当するように基準を設定してしまえばいいからです。よって本当にWTO法の問題となりパネルや上級委員会で争うなら環境基準に科学的根拠があるのか、恣意ではないのかなどを検討することになるでしょう。

実際には通商紛争の大半は外交的な解決が図られることもあるので、法律的な検討をしても仮定的検討に終わることも十分にありうるところです。

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